Un Moment Doux(アン モーマン ドゥ)~優しいひととき~

大好きなアニメ・漫画・声優さん(主に小野大輔さん♡)、ハンドメイド作品のことを書いてます。

「シンベリン」を観る

『シンベリン』

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◆作:W・シェイクスピア
◆演出:蜷川幸雄
◆出演:阿部寛大竹しのぶ窪塚洋介勝村政信浦井健治瑳川哲朗吉田鋼太郎鳳蘭 他
◆あらすじ
ブリテン王シンベリンは、王妃の連れ子クロートンと結婚させようと考えていた一人娘のイノジェンが、紳士ポステュマスと勝手に結婚したことに激怒する。追放され、ローマへと渡ったポステュマスは、そこで出会ったヤーキモーとふとしたことから妻の貞節を賭ける。ヤーキモーは彼女のブレスレットを盗み出し、それを見せられたポステュマスは妻の不義を信じ、召使いに妻の殺害を命じる。誤解を解きにローマへと向かうイノジェンだが、道中、迷い込んだ洞窟で一人の老人と2人の王子に出会う。その頃、ブリテンとローマは戦闘状態に突入し、妻への復讐を後悔するポステュマスは、ローマ軍の一員として戦いに参加する――。

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初日をご覧になった方から、早めに着席しておいた方がいいというアドバイスをいただいていたので、開場してほぼ即効着席。

すると、既に舞台には鏡の右に役者の名前が貼られたメイク室セットがあり、最初は脇役の俳優さん(失礼)がジャージ姿や浴衣姿などで出てきて、談笑したり、台本読んだり、遊んでたりしてました。

もちろん、途中から勝村様たちも登場。

勝村様は、NIKEのジャージを着ていてフードをかぶってました。なので、最初はそれが勝村様とは気付かず、フードを取ってからようやく気付いた次第です。

で、勝村様は鳳蘭さんや大竹さんと談笑したり、うろうろしてました。

勝村様のメイク台には、白黒の少年の写真があったんですが…あれは昔の自分の写真だったんでしょうか。オペラグラスで必死で見たんですが、判明せず。

あと、大竹さんのメイク台には何故かLADY GAGA様の写真が3枚貼られていました!!

そして開演のベルが鳴ると全員が一列に並んで、一礼すると同時に浴衣やジャージが取られ、下には役柄の舞台衣装が現れる仕掛けになってました!!(ちょっとマジックぽかった)

「シンベリン」の内容は、上記のストーリー通りなのですが。

とにかく、この芝居の覇者は我らが勝村様しかいません!!

勝村様演じるクロートンは、シンベリン王の後妻の連れ子で、バカ息子。

パンフレットでも「バカ息子」と連呼されてました(苦笑)

だって、剣を鞘から出せないし、鞘に入れる事も出来なくて剣を放り投げちゃったり、空気が読まなくてパパ・ママに宥められたりという見事なまでのバカ息子っぷりでした。

ちなみに、おぼっちゃま風のカツラつけてましたが、妙に似合っていましたね(笑)


シンベリン王と王妃は、クロートンとシンベリンの娘・イノジェンを結婚させようと企むものの、イノジェンはポステュマスと勝手に結婚。

権力が欲しい王妃は、あの手この手で、2人引き裂こうとする。

その一方、バカ息子君もイノジェンが欲しいので、ちょっと襲っちゃってもみる!

しかし、イノジェンは負けてはいません。

抱きつこうとするクロートンを壁に投げ飛ばす場面があるのですが、大竹さん力が入りすぎたのか、結構痛そうに倒れるバカ息子。それを見て、大竹さん笑ってしまっていて台詞もちょっと笑いを堪えての状態に。

しかも、倒れるバカ息子を放置したまま、開いているドアから出ていくはずが、開くはずもない壁を押して入ろうとしていて開かないことに気付き「あっ」って言って、ちょっと恥ずかしそうに開いているドアから退散。

なかなかの天然ぶりが発揮されているハプニングもありました。


とにかく、このバカ息子が出るたたびに会場は爆笑。

何か変な動きしたり、変なこと言ってみたり、空気が読めないバカ息子に鋼太郎さんが、言葉を区切りながら「お前に ローマ使節の もてなしを…」と言い聞かせたり。

まーー、勝村様いるところに笑いありという状態で、1幕目は完全に勝村ワールドがさく裂してました。

しかし、このバカ息子、一歩間違えるとただの変人になりかねない役だと思うのですが、そこを上手く王子だけどバカっていうクロートン像を表現した勝村様はさすがです。

コリオレイナス」では唐沢寿明よりもカッコよすぎたり、「ファウストの悲劇」では萬斎さん以上の印象を与えたり、やっぱり彼の演技力はずば抜け過ぎです(///∇//)

で、このバカ息子は残念ながら、2幕目の最初の方で死んでしまうのですが。

しかも殺したのは、「ベッジ・パードン」でべッジのバカ弟・グリムスビーを演じていた浦井健治!!

萬斎さんと共演したことある者同士が、こんな風になるなんて(笑)

今回の浦井君、髪の毛はストレートのロン毛、上半身裸、しかも顔は端正なもんで、森で暮らしている男なんですが(実際にはシンベリン王の息子)見た事ないワイルドさでマジ惚れ(〃∇〃)

そんなわけで、バカ息子が死んでからは、私の中では浦井ワールド状態になってました(笑)


クロートンが死んで、勝村様の出番がないと思いきや、実はもう1役あったんです。

神ジュピターの役。

ワイヤーに吊るされた鷲に乗ってのご登場。(ホントに、「ファウストの悲劇」のメフィストフェレスみたい・笑)

しかし、面をつけていたので、これがバカ息子を演じていた勝村様だと会場内は分かったのかどうか…。

(私は事前に知っていたので、出てきた途端にオペラグラスでガン見してましたけど)

しかし、この「シンベリン」はシェイクスピアの晩年に書かれた作品だそうで、彼の過去の作品のアイテムなどが色々出てきてなかなかおもしろかったです。

(「ロミオとジュリエット」でジュリエットが飲む仮死状態になる薬とか)


でも、最後は結構な強引っぷりで大円団で終わるっていうのが、ご都合主義みたいな感じだったんですけど。

だって、突然ジュピターが出てきたり、唐突なほどのハッピーエンドだし。普通にはあり得ないだろという結末。

しかし、東日本大震災の「奇跡の一本松」がセットにされていて、そのセットと最後は今まで敵対し合ってきた人たちを許し受け入れるという場面だったので、そのセットが生かされており、蜷川幸雄侮れず…。


今回は、阿部寛さん、窪塚洋介君は初めて舞台で見たのですが、阿部さんは今までにも蜷川作品にも出ているので、長台詞も聞き取りやすく、まんまと窪塚洋介君演じるヤーキモーの策略に乗せられて完璧な人間から嫉妬する人間へ変貌するあたりはさすが。

また、「シンベリン」の中ではかなりのキーマンであるヤーキモーを演じる窪塚君も、テレビや映画向けの役者さんだと思っていたのですが、ちょっとナルシストっぽい感じで嫌なヤツの役が妙にフィットしていたし、2幕の殺陣シーンも綺麗だったし、中世の服も似合っているのにはビックリしました。

台詞も綺麗に聞こえるし、今後は彼の舞台にも注目ですね。

大竹さんや鋼太郎さん、鳳蘭さんは、当たり前すぎるほどの演技力なので何も言う事はないのですが。

明らかに阿部さんより年上であろう大竹さんなのに、阿部さんと並ぶと普通に夫婦として見えてしまうのが驚き。

ある意味、魔女ですね(苦笑)


「シンベリン」はなかなか曲者のロマンス劇だそうですが、ちょっと強引な部分はあるものの、誰が見ても楽しめる舞台だと思うし、今まで悲劇と史劇のシェイクスピア作品しか観ていなかった私にはすごく新鮮な舞台でした。


最後は、スタンディングオーベーション。
これは文句なしでした!(*^^*)